10年の節目:帰国、手放すこと、そして所有のパラドックス
日本からハノイへ帰国するフライトから10年。これまでの選択、所有のパラドックス、そしてIKIアプリを作る理由を振り返ります。
今朝、Facebookがちょうど10年前の思い出(2016年7月9日から2026年7月9日)を知らせてくれました。中部国際空港(名古屋)からハノイへ向かうVN347便の搭乗券と、「帰ろう」という短い投稿です。その写真を見て、胸の中で一瞬、時間が止まりました。あの日、雨の中を空港まで送ってくれた友人のことは今でも覚えています。
10年前の勇気とは、安全と安定を手放して飛び込むことでした。10年後の勇気は、本質的な価値を守り抜き、法を尊重し続けることです。この10年は、明るさと暗さのあらゆる色を持つ一枚の絵のようで、嵐の後には空が明るくなりました。この道のりで最も多く学んだのは、頭を下げて謝ること、そして心からお礼を伝えることでした。
あのフライトに勇敢に乗り込んだ25歳の自分に感謝します。日本時代の兄弟のような友人たち、アドバイザーの方々、そしてずっと隣で支えてくれた仲間たちに感謝します。
火を絶やさない問い
人生の流れに追われて駆け回った年月から、生きる目的を探す時期まで、ある問いがずっと心にありました。社会に本当に貢献するために、自分は何をすべきか。長い道のりを支えるほど大きな情熱とは何か。
その道中で、私は大企業での安定した昇進の機会をいくつも、自ら退き、見送ってきました。後悔したことは一度もありません。選んだ分かれ道の一つひとつ、人生を通り過ぎた人の一人ひとりが、深い教訓を残してくれたからです。その一つが、所有のパラドックスです。
所有のパラドックス
身近な例を挙げます。車を買ってみて初めて不便に気づきます。通勤では渋滞、出かけた先では駐車場がなく、駐車場所を探す時間が目的地までの移動より長い日もあります。
以前は、車があればもっと自由になれると思っていました。家があれば安心できる、お金があれば不安が減る、名声があれば満たされる、素敵な恋愛があれば幸せになれる、とも考えていました。しかし、苦労して手に入れたものにはすべて、守り続けるという重荷が伴うと気づきます。車には整備、家には修繕、お金には価値の目減り、名声にはそれを保つ苦労、愛情には別れへの不安があります。
だからといって、それらに価値がないわけではありません。どれも報われるべき大切な成果です。ただ私は、心の平穏と幸せを、どんな物質的な目標の向こう側にも置きたくなくなったのです。
幸せはゴールで待っているのではありません。今ここにあります。毎朝の静かな一杯の水、両親からの安否の電話、家族との食卓、仲間と共に過ごす穏やかな仕事の一日、時計を気にせず木々の下を歩く時間の中にあります。
年を重ねるほど、失われうるものは平穏を預ける安全な場所ではないと、はっきり分かってきます。車は古くなり、家は変わり、お金は減り、名声は薄れ、大切な人は離れていくかもしれません。人生のどの季節にも寄り添ってくれるのは、心の穏やかさと健やかな体だけです。
なぜIKIアプリを作るのか
健康は人生で最も根源的で貴重な資本です。それなのに皮肉にも、私たちはその資本そのものを、外にある所有物と引き換えにしてしまいがちです。これが、IKIアプリの開発に力を注ぎ続ける最大の原動力です。
私は、人々に「持たなければならない」「気にしなければならない」アプリをもう一つ増やすためにIKIを作ったのではありません。物質的な忙しさの中で立ち止まり、心・身体・知恵の声に耳を傾け、授かった最も貴重な資本を大切にするための、パーソナルなウェルビーイングのアシスタントを作りたいのです。
本当に自分のものと言えるもの
私たちは資産を握っているつもりでも、実際にはその資産に心を縛られていることがあります。結局のところ、どんなに大きな計画を描いても、私たちはこの世に身を寄せる旅人にすぎません。何も持たずに来て、いつか風のように軽く去っていきます。
本当に私たちのものと言えるのは、金庫や権利証の中にはありません。心に染み込み、自分の一部になったものです。
- 良いことを学び、それを誰かに教える。
- 愛情を受け取り、愛情を返す。
- 働き、地域や社会に尽くす。
- 自分の健康を守り、周りの人にも健やかに生きようと声をかける。
いつか長い道のりを振り返った時、私たちは自分がどれだけ所有しているかを問わなくなるでしょう。問うのはただ、今日をどれだけ満ち足りて生きたか、どれだけ愛し、尽くし、自分の健康を大切にできたか、ということだけです。
人生は所有の旅ではありません。経験し、学び、分かち合い、そして帰っていく旅です。やって来た時と同じ軽さで。
次の10年
最初の10年は、胆力を鍛え、自分の立ち位置を定めるための時間でした。次の10年は、もう何かを証明するためではなく、遺産を築き、本当の価値を社会に返すために働きます。歩き続ければ、必ずたどり着きます。流れに逆らう道ですが、最も持続可能な道だと信じています。
私たちは何も持たずに来て、何も持たずに去ります。最も大切なのは、必死に抱え込んだものではなく、手渡してきた誠実な価値です。
著者
記事
安いお金の時代は終わった──IKI by HOPE CORPが本物の価値から成長する道を選ぶ理由
TechNode Globalに掲載されたグエンホアンハイ氏のインタビューでHOPE Iki Healingが紹介されました。顧客のお金で生きること、規制強化、IKI Beauty & Wellnessエコシステムについての創業者の視点。
グエンヴァンハン資金は何のために集めるのか:ブランドと人には株式、商品には借入
HOPEが株式資金をブランド、新製品、営業力に充て、商品の運転資金を借入と自社のキャッシュフローで賄う理由を、創業者の言葉でお話しします。
グエンヴァンハン日本のソフトウェアエンジニアから HOPE を築くまで: 私が持ってきたもの
崇城大学と日系企業のブリッジエンジニアとしての経験から HOPE CORP の AI エージェントまで。創業者の歩みと、投資家・パートナーに求めるものを語ります。
グエンヴァンハン本コンテンツは事業運営の経験を共有するものです。IKIの製品は栄養補助食品であり、医薬品ではなく、治療の代わりにはなりません。

