思考の二段階の距離:共に遠くへ行くには、同じ歩調で成長する必要があります
創業者と中核チームの思考が二段階以上離れると、なぜ共に遠くへ進めないのか。HOPE CORPが学びの規律とAIで、全員の歩調を揃えている考え方をお話しします。
よく知られた言葉があります。「早く行きたければ一人で行け、遠くへ行きたければみんなで行け」。私はこの言葉を信じています。ただ、長く経営の現場に立ってきて、一つ足りない点があると感じています。舵を取る人と中核メンバーとの間に、思考の段階で二段階以上の開きがなければ、はじめて「みんなで遠くへ」行けるということです。
この文章は、チームづくりに取り組む創業者の皆さんに向けて、そしてHOPE CORPが人の課題をどう捉えているかをお知りになりたい投資家の皆さまに向けて書いています。
資金不足以上に組織を分断するのは「距離」です
会社にとって難しいのは、資金不足だけではありません。同じ道を歩む人同士の間で、成長の度合いに差が生まれることも大きな課題です。
経営者は毎日市場と向き合い、自社よりはるかに大きな相手と競い、夜にはまた学びます。私の場合は経済法と経営学で、会社の進む道を見つけるために必要なものです。経営者の思考は、学ばざるを得ない圧力によって日々広がっていきます。一方で、反対側には、居心地のよい領域に閉じこもり、与えられた業務をこなすことで満足してしまう人もいます。
私はこれを、どちらが正しいか間違っているかの問題とは考えていません。これは歩調の問題です。思考の距離が二段階を超えて開くと、分断はほぼ避けられません。両者は同じ出来事を見ながら、違うものを見ています。リーダーが大きな目標を語ると、聞く側は遠すぎる期待と圧力だと受け取ります。メンバーが自分のペースで進めると、リーダーは遅さともどかしさを感じます。かつてどれほど互いを大切に思っていても、二人は少しずつ別々の方向へ進んでいきます。
人の「慣性」と、思いやりから生まれる厳しさ
長年の経験から、私は気づきました。多くの場合、その人の能力が低いからではありません。人は誰でも、とても大きな慣性を持っています。より高い目標に届くことも、慣れ親しんだ思考の限界を越えることも、本人自身が信じられない場合が少なくありません。
チームを本当に大切に思うなら、立ち止まらせてはいけません。学ぶ習慣は創業者だけの特権ではなく、中核チームの日常でなければなりません。そのためには、明確な規律と、一人ひとりを慣れた領域から押し出すだけの大きな目標が必要です。その圧力がなければ、人は安心感の中で眠ってしまいがちです。
私は、仲間に高い水準を求めることを、信頼の表れだと考えています。求める水準が低ければ、それはこれ以上成長できないと暗に言っているのと同じです。
システムにAIを入れる:魔法とは考えず、しかし並走は不可欠です
こうした考えから、HOPE CORPでは経営と人材育成の基盤にAIを深く取り入れています。
私はAIを、人に取って代わる魔法だとは考えていません。AIには温かさがなく、お客様の声に直接耳を傾ける相談員の共感もありません。それでもAIは、慣性を打ち破る非常に強力なてこです。
AIがシステムの中で伴走者として働くと、繰り返しの作業は機械が数秒で処理します。そうなると、チームは手作業の陰に隠れる場所を失います。一人ひとりが頭を使わなければなりません。技術を使いこなすために戦略的に考える力を身につけ、機械には代われないお客様への理解を深める必要があります。
AIは仲間の代わりをするために存在するのではありません。新しい基準を示し、一人ひとりが力をつけて、技術を使いこなす人間としての立場を守れるようにするものです。
ここから導いた原則
この考え方から、私はチームづくりで次のような原則を大切にしています。
- まず中核となる価値観の一致、次にスキル。 スキルは学べます。しかし価値観が異なれば、長い道のりを共に歩むのは難しくなります。
- 学ぶことは仕事の一部であり、追加の作業ではありません。 リーダーが誰よりも先に、誰よりも多く学ぶ必要があります。
- 期待と、その背景にある理由を明確に伝えること。 思考の距離は、相手がなぜそう望むのかを互いに理解できないところから始まることが多いのです。
- 全員が共に成長できる環境をつくること。 適切な圧力でも、技術でも、あるいはその両方でも構いません。
- 感情と役割の判断を切り分けること。 過去の貢献への感謝は本物です。ただ、組織の成長の速さに役割が合わなくなったとき、情だけで現状を維持すると、船全体の速度を落とすことがあります。
むすび
長い道のりは厳しいものです。スキルが高いだけでなく、中核となる価値観を共有できる人たちが必要です。そうしてはじめて、長く共に歩むことができます。
思考の距離のせいで、良い仲間を失わないでください。規律によってでも、技術によってでも、全員があなたと共に成長できる環境をつくってください。
私自身も、これをより良く実践できるよう、毎日学んでいる途中です。ほかの創業者の皆さんが、チームを遅れさせないためにどのような工夫をされているのか、ぜひ伺ってみたいと思っています。
著者
記事
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崇城大学と日系企業のブリッジエンジニアとしての経験から HOPE CORP の AI エージェントまで。創業者の歩みと、投資家・パートナーに求めるものを語ります。
グエンヴァンハン本コンテンツは事業運営の経験を共有するものです。IKIの製品は栄養補助食品であり、医薬品ではなく、治療の代わりにはなりません。

